ジワジワとジュエラー、ジュエリー教徒の間でアツイと話題になっていた、巷で噂のアイツ……。斜め上をいく斬新なカット、それはもちろん理髪店のヘアーカットではなくて、ジュエリーのニューカット技法でした!今回は日本だけでなく世界のジュエラーをも魅了してやまない、21世紀の日本生まれのニューカット甲州貴石切子をご紹介したいと思います。

甲州貴石切子とはいったい何者?

2018年8月17日、どっとSNS業界にどよめきが走りました!なんとあの甲州貴石切子の公式Twitterアカウントが突然誕生、そしてあっという間に数千のフォロワーをゲット。ジワジワ来ていた甲州貴石切子の美しさに、思わず「ハア~」と情けない溜息を吐き出したジュエリーマニアが全国で確認されました。

ウェブ上の盛り上がりに反して、もちろん甲州貴石?切子?磯野貴理子じゃなくて?何それ?という方もいると思いますので、まずは甲州貴石切子についてお話ししたいと思います!

山梨生まれの新しいカット技法、甲州貴石切子

ジュエリー業界は盛り上がったり、冷え込み出したりと、特に景気に振り回されやすい業界。ジュエリーの魅力はなんと言っても、人の身なりを盛り上げる装飾性、そして宝石が持つある種の神秘的魅力、はたまたジュエリーに対する思い入れなど、色々な要素が宝石、地金以上の付加価値を生みだします。

ジュエリー加工技術は太古の方が優れている点はアンティークジュエリーを見れば一目瞭然ですが、カットと石留め技法に関しては確実に現代の方が優れているといえます。

前置きが長くなりましたが、今回ご紹介する甲州貴石切子は、日本一の宝石加工地山梨は甲府が生んだ新カット技法のことです。2015年秋頃に山梨県甲府市にあるシミズ貴石のデザイナー清水幸雄氏とジュエリーデザイナー深沢陽一氏のコラボレーションで生まれた、和製宝石カット技法が甲州貴石切子。

このカット技法は上面のクラウンの部分にファセットカットを施し、下部の底面に切子模様を刻み込むという、何ともおニューなカット!ファセットカットと切子模様はいくつかのパターンが用意されており、カットする宝石の特徴に応じて一番映えるカットを組み合わせます。

清涼感満載の江戸切子をそのまま宝石のルースに閉じ込めたような美しさは、世界でも山梨発の甲州貴石切子だけ!底部のカットはそれなりのモース硬度を要するため、あまりに脆い宝石に甲州貴石切子カットを施すことはできませんが、特に半貴石のような透明度が高い宝石と甲州貴石切子の化学反応は抜群です。

2017年には商標登録が完了していますが、各地で似たようなカットを真似たカットも続出しており、人気の裏にある類似品(パクリ)に悩まされている現状は、どこの業界も同じですね……。

甲州貴石切子のデザインが響く理由

日本で開催されるミネラルまたはジュエリー関連イベントでは、毎回人だかりの大盛況を収め、甲州貴石切子のブースは完売御礼の嬉しい悲鳴が聞こえてくるそうです。たかがカット、されどカット、宝石の魅力を引き出すのは、いかに宝石のいいところを引き出してあげられるカットなのかに尽きるはず。

ここまで大きな評判を国内外で浴びているその理由として、江戸の天保年間に起源を持つ江戸切子の切子文様を思わせる底面カットにあります。透明度の高い宝石をガラスに見立てて刻みつける切子文様は、西洋由来のカットには見られない雅な江戸の風情を思わせるデザインを呼び起こしているのです。

大きなガラスに切子文様を施すのと同じ感覚で、複雑な曲線模様を入れることは難しいのが現状ですが、日本古来の花鳥風月の情景を思わせるデザインこそが、現代人の疲れた心に響くのではないでしょうか?

宝石の魅力はカットが命!切子文様のクリア過ぎるデザインを堪能してみて!

ここまで煽って甲州貴石切子の魅力を語ってきましたが、活字からでもその斬新なデザインが伝わったでしょうか?とは言っても、百聞は一見に如かずという有名なことわざがあるので、説明文を交えながらその美しさに浸ってみて頂ければと思います!

海外ジュエラーも大注目!これが山梨生まれの甲州貴石切子のデザインだ!

甲州貴石切子をネットで見つけて、「ワオ!ワンダフル~!」と声を大にして騒いでいる海外マダムにジュエラーは、鰻登りで増加しているそうです。

特に最近は色石の中でも、アメトリンやウォーターメロントルマリンなどのバイカラージェムに、甲州貴石切子カットを施すパターンが多くみられます。もちろん大人気のタンザナイト、アパタイトにあのオレゴンサンストーン×甲州貴石切子のデザインカットも健在です。

うっとうしいはずのインクルージョンも、切子文様を引き立たせる脇役のような存在感にしてしまうカットは、もちろん全て山梨の自社工場で手作業でカットされています。

現段階では最小6ミリのルースにも甲州貴石切子カットを施すことが可能で、HPの情報によると、①桔梗カット、②菱形30面体カット、③灯カット、④なでしこインカット、⑤潮カット、⑥炎カット、⑦桜カット、⑧スターマインカットなどの複数のデザインカットが可能なようです。

さあ2015年生まれの新進気鋭、日本発の甲州貴石切子の美しさ、あなたは十二分に感じることができたでしょうか?日本唯一無二のオリジナルカット技法、手先の器用さが自慢の日本人の感性そしてデザインの底力を見た気がしますね!

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どこで購入できるの?ルースカットだけお願いできるの?

甲州貴石切子は生まれて数年の新しいカット技法なので、残念ながら市場には多く流通していません。その為、どこかの百貨店・デパート、またはジュエラーで、甲州貴石切子のカットが施されたジュエリーを購入することは難しいと言えます。

人気に火が付き始めた時期なので、これから多くのブランドやデザイナーが甲州貴石切子カットによるジュエリーを発表することが予想されますが、現段階では受注デザインがメインです。

つまり個人でお気に入りのルースを用意してオーダーする方法が、確実に甲州貴石切子デザインのルースを手に入れられる方法と言えますね。

世界に例を見ないデザインアートの結晶のようなカット方法なので、特に大きめのルース、そして透明度が高く、様々なカラーが共存するバイカラー以上のルースでのオーダーがオススメです!

スタンダードなブリリアントカットと異なり豪奢な輝きはありませんが、宝飾品を身に着ける上での必須要素であるオリジナリティー、存在感そして注目度の高さにこそ、注目してもらいたいのが甲州貴石切子のカット方法。

お気に入りのルースを見つけて甲州貴石切子で斬新なカットを施し、オリジナルジュエリーをオーダーする。既製品ではアリエナイ、素敵な煌めきとデザインがあなたの心を魅了してやまないことでしょう。

ちなみに私のオススメは、日本人の琴線に触れる桜のデザインの切子文様です!

HP  https://www.facebook.com/shimizukisekikk/

まとめ

いかがでしたか?日本生まれのニューカット技法、甲州貴石切子。一度聴いたら耳から離れない素敵なネーミングは、日本が生んだ切子文様由来のどこか懐かしいデザインカットでした。

現段階では甲州貴石切子カットが施されたジュエリーが陳列されているジュエリーショップはほとんどありませんが、これからより知名度を上げていくことは間違いなし!琉球ガラスなど日本古来の材質、そして新進気鋭のデザイナーとのコラボ商品も発表されているので、気になる方は各イベントスペースやジェムフェアーに足を運んでみてはいかがでしょうか?

また甲州貴石切子とスペシャルカットのパンフレットも充実しているので、こちらも必見の内容となっています!