Diorと聞いてまず思いつくのが、お財布にバッグ、あとは香水でしょうか?
日本人女性にとっては、随分身近なブランドになってきたChristian Dior。フランス発のオシャレブランドというイメージが強いですが、Diorのジュエリーと聞いてもイマイチ思い浮かばない方も多いと思います。
しかしDiorのハイジュエリー、やっぱり本気を出したら凄かったのです。今回はマリーアントワネットも欲しがる、ちょっと手が届かないDiorのハイジュエリーをご紹介いたします。
ヴェルサイユの庭園に着想?ファンタジーな庭園をジュエリーに覗
アンティークリングでジャルディネッティという、ジャンルのリングがあります。ジャルディネッティとは、フランス語で小さな庭園という意味で、指先に咲く花のようなデザインのリングのことです。
このジャルジャネッティは、指を動かすと、草花に見立てた宝石が揺らめくように見える魔法のリング。そんな古のデザインを思わせるハイジュエリーがココにありました。
ジュエリーに咲くヴェルサイユの花々と木々の煌き
私のようなファッションや現代ジュエリーに疎い者にとって、Diorのジュエリーを一言で語れ!と言われたら、正直口を噤んでしまいます。
皆さんはDiorのジュエリーといって、「あっ、あのジュエリーのことだな!」とイメージが沸きますか?
フランス屈指の名門ブランドDiorが2017年盛夏、素晴らしいとしか言いようがないジュエリーコレクションを発表しました。
その名も”Dior a Versailles, cote jardins”です。
う~ん、フランス語に疎い私ですが、詰まるところ”Diorコレクション、ヴェルサイユの庭園のふもとで”このような意味合いになると思います。
さてこのハイジュエリーコレクションは、18世紀マリーアントワネットが「パンがないのなら、お菓子を食べればいいじゃない!」と言っていた絶対王政のフランスが舞台です。
今でもフランスの庭園には、数百年も前の幻想を思い浮かべるのに十分な宮殿と花々や木々の共演が見られます。そんなフランスの謳歌を庭園に見据えたジュエリーコレクションが、こちら”Dior a Versailles, cote jardins”なんです。
先ほどのジャルディネッティを思い起こさせるデザインのジュエリーは、アンティークのような古めかしい雰囲気は一切ありません。モダンジュエリーの美しさの真髄を感じるアシンメトリーの配色とデザイン。
瑞々しい花々はルビー、アメジスト、ピンクトパーズにシトリンが輝き、てんとう虫が今にも飛んできそうな葉を構成するのはエメラルドにペリドット……etc。七色に輝くレインボーのようなグラデーションが、小さな指の庭園に咲いている、まさにそんなイメージです!
こんな素敵な女性らしいデザインだったら、ちょっとばかりお洒落なパーティーや高級レストランにもピッタリですよね!しかし気になるお値段はというと……HPにプライスが記載されていないことからも分かるように、オートクチュールの超高級品なのです。
デザインによっても異なりますが参考価格として1千万円~3億円程で、ようやく1ピースが購入出来るそうな……う~ん、高級品はやはり視覚で楽しむべきなのでしょうか?
値段はさておき、まずはその美しすぎるコレクションを見てください!いやあジュエリーって、本当にいいもんですね。
https://www.dior.com/couture/ja_jp/ジュエリー/ファインジュエリー/dior-a-versailles-cote-jardins
Diorがオパールを扱ったらこうなった!
以前にもオパールの美しさを紹介しましたが、Diorのオパールジュエリーも一言では語れない世界観を見せています。
しばし機械化されて作られたモダンジュエリーは、アンティークのものと比べて格段に技術レベルが低いと揶揄されますが、このディテールを見れば、モダンジュエリーも悪くないと素直に思えてしまうはず。
Diorとオパールの共演!まさに指先のアートなり
Diorのクリエイティブデザイナーのヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌは、オパールをまるで炎のようだと表現しています。そしてその輝きは、モネが描いた睡蓮を思い起こすと形容するように、多様性の中で生きる21世紀の私達にはピッタリの宝石なのかもしれません。
ブラックオパールにミルキーオパール。女性的であり、しばし力強くも見える、まさに夢を見る石、それがオパール。そんなマジックストーンをザックリと贅沢に使った、Diorのオパールコレクション。
その名も”Dior et d’Opales ”。ファンタジーを誘うオパールをここまで存在感豊かにデザイン出来るのは、まさにDiorが誇るパリの金細工師達だから成せる技です。
このコレクションで特に目を引くのは、ブレスレットを思わせるジュエリーウォッチの存在。時にDiorのようなハイブランドは宝石を大胆に使用した豪華なレディースウォッチを発表しますが、Diorのそれは桁違いの美しさを誇ります。
それはまるでオパールという時空の扉に閉ざされた、懐中時計のよう。真ん中で遊食効果を見せる大型のオパールをそっとずらすと、そこにはダイヤモンドで埋め尽くされた文字盤が出現!
ハッと息を飲む美しさが腕元に光る、時を刻むブレスレット。このブレスレットをした所で、時を止めることは勿論出来ません。しかしそこに流れる”優雅”と言う名の時空空間こそが、持つ者を遥か彼方の古き良きパリへと誘うのです。
オパールのカット、散りばめられたジュエリーの違いにより、8つのジュエリーウォッチが用意されています。この8と言う数字はクリスチャンディオールの、フェイバリットナンバーから取られた数字です。さて、あなたはどのタイプがお好みですか?
因みにお値段ですが、これらのジュエリーウォッチは5千万円超えのプライスとなっております。果たしてどのような方々が、どんなシーンで身に付けるのでしょうか?
なんだか見ているだけで、もはやお腹いっぱいになってしまう。まさに目の保養にもピッタリなジュエリーコレクションでした。
https://www.dior.com/couture/ja_jp/ジュエリー/ファインジュエリー/dior-et-dopales
ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌのデザインに夢を見る
Diorの素晴らしきハイジュエリーのコレクションを紹介してきましたが、これらのジュエリーの産みの親はヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌという人物です。
”Dior a Versailles, cote jardins”、”Dior et d’Opales ”のジュエリーデザインを担当した彼女は、いったいどんな人物なのか?
ヴィクトワールと言う女性の物語を、ここで少しだけ開いてみましょう。
ジュエリー業界にこの人有り!ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ
横文字が苦手な私でも、どこか只者ではない雰囲気を感じる彼女の名前。ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ。彼女はフランス生まれの、大変高名な女性ジュエリーデザイナーです。
1962年生まれのパリジェンヌは、とても高貴な家の生まれ。ドゥ・カステラーヌ家はフランス最古の貴族の家系で、彼女の祖先は9世紀にまで遡ります。
貴族の家系に生まれ、何不自由ない生活をしてきた彼女が、ジュエリーの美しさに心ときめいたのは、彼女の祖母シルビアの影響だったといいます。朝、昼、晩と洋服を着替え、そしてそれに合わせてジュエリーを付け直す。まさにヴィクトリアンな時代をそのままに生きた、まるで女優のような祖母。
おばあちゃん子であった彼女は、祖母の煌くジュエリーに憧れを抱きながら、5歳の時には既に彼女の処女作を作り出したと言うから驚きです。
そんな彼女は22歳の時にシャネルへ入社。コスチュームジュエリーのデザイナーとして1998年まで、カール・オットー・ラガーフェールドの右腕として、シャネルの復興へ助力していったのです。
ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌのデザインの源流
シャネルのコスチュームジュエリー畑で修行を積んだヴィクトールは、1998年からDiorのクリエイティブデザイナーとしてハイジュエリーのデザインを始めます。
要するにハイジュエリーに力を入れたいDiorが、シャネルから彼女を引き抜いたと言うことですね。
前述のコレクションを見れば分かる通り、彼女が紡ぎ出すハイジュエリーのデザインは大変特徴が分かりやすいと思います。大柄、キラキラ、そして可愛い!高貴なエレガントエッセンスたっぷりのDiorには、ちょっとばかし個性を出しすぎじゃないか?と思うくらい。
件のシャネルのファインジュエリーを見てみると、やっぱり落ち着いたデザインが、シャネルというブランドをしっかり継承しています。(勿論Diorの他のラインでは、小ぶりのジュエリーもありますが)
いい意味で期待を裏切るヴィクトワールのジュエリーは、そのどれもがフローラルな香りで溢れている気がしませんか?動植物、母なる海に、大地、生きとし生ける人間と自然の調和が、彼女のジュエリーには見て取れます。
また彼女は多くのPOPミュージック、映画、漫画や童話などから多くのインスピレーションを得て、自身の作品に反映していると言います。
日本の文化にも大変興味を持っているらしく、彼女の部屋で時を刻む時計は寿司のデザイン。一目見れば彼女のデザインと分かるジュエリーにも、きっと日本の文化や風習からヒントを得たアート作品もあるのでしょうね。
現代のファッションアイコンとしても名高いヴィクトワールですが、彼女のデザイン画は画集として販売されています。素人が見てもプロが見ても感嘆のその作品、是非あなたもその目で見てみてください。
きっと誰もが彼女のジュエリーの虜になることでしょう。でも画集と言っても、1万円超えの値段なのは、やはりDiorマジックですね!
まとめ
ハイブランドDiorのハイジュエリー、ジュエリーでありながら、もはや芸術品の域に達している作品達。私も欲しい!と思う方も多いと思いますが、やっぱり本物のセレブじゃないと購入出来ない価格なのは残念です。
ただし小ぶりで抑えたデザインの”Archi Dior”シリーズや”Rose Des Vents”シリーズなどは、ちょっと無理すれば購入可能な10~100万円代が中心なので、ちょっと安心。
ザ・ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌデザインの片鱗を感じるジュエリーは、最低100万円は見積もる必要があるので、心してお近くのブティックに問い合わせてみましょう。