何かとおめでたい話題で持ち切りの英国王室。スキャンダラスな家族を持つメーガン妃が新たな王室メンバーになり、もうそろそろロイヤルベイビーが生まれるとか。将来安泰の英国王室、遠い日本においてもイギリスの王室事情は気になるところですが、今回はメーガン妃ではなくキャサリン妃が主人公!誰もが見惚れてしまうそのルックス自慢のキャサリン妃ですが、気になるのはやっぱり豪華できらびやかな王室ジュエリー!

特にキャサリン妃お気に入りと呼ばれるティアラがあり、このティアラにはちょっと興味深い歴史があるんです。ロイヤルコレクションの一つでもあるキャサリンティアラ、今回はロイヤルジュエリーの歴史を紐解きながら、豪華絢爛ティアラにスポットライトを当てていきたいと思います。

キャサリン妃の頭上に注目!ダイアナ妃から受け継いだティアラの謎

ウィリアム王子との結婚後も子宝に恵まれ、何かとその立ち居振る舞いがダイアナ妃と重なるケンブリッジ侯爵夫人キャサリン妃。

テレビで彼女の姿を見て思わずため息をつく方もいるかもしれませんが、彼女の洋装、特にジュエリーは注目の的!スペイン国王を迎えた晩さん会で、それは大きな関心を集めたのが、キャサリン妃の頭上に輝くティアラ。

ここではそんな豪華絢爛ティアラの秘密、そしてそれが持つロイヤルヒストリーを紐解いてみたいと思います。

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思わず二度見の美しさ!ccとは?

そのティアラはキャサリン妃のお気に入りらしく(憶測ですが)、ウィリアム王子との結婚式やバッキンガム宮殿での催事でも着用され、まばゆいパールとダイヤモンドの輝きに思わず目が奪われてしまいます。

ダイヤモンドをちりばめたリボンの結び目を思わせるラバーズノットデザイン、その下には梨型の真珠がセットされ、それらを19のアーチ状に並んだダイヤモンドが囲んでいる、いかにも王族が好みそうな上品なフレンチ風デザイン。

以前はティアラの上部に、大粒の真珠がセッティングされていたそうです。なお取り外された上部の真珠は、ペンダント制作に再利用されたそうです。(古い時代のジュエリーは、一部または全てを分解し直し、リサイクルしながら新しいジュエリーに作り変えることはよくある事例です。)

このティアラは、ラバーズノットティアラと呼ばれ、今は亡きダイアナ妃が所有していたティアラで、1981年結婚祝いとしてエリザベス女王から貸し出された経緯があります。(ちなみにダイアナ妃がチャールズ皇太子と離婚した際には、ラバーズノットティアラをキチンとエリザベス女王に返還しています。)

写真で見る限りでは伝わってきませんが、かなりの重さがあるティアラと言われ、ダイアナ妃の豪奢なジュエリーボックスの中でも、特にお気に入りの1つであったと伝わっています。

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ケンブリッジラバーズノットティアラ、実はコピーだった!

歴史と共に持ち主を変えていくのがアンティークジュエリーというものですが、ラバーズノットティアラ(通称ケンブリッジラバーズノット)も、エリザベス女王→ダイアナ妃→キャサリン妃に受け継がれる以前に幾人かの王妃に愛されてきました。

そもそもこのティアラは1814年に初代ケンブリッジ侯アドルフォスの妃であるオーガスタ・オブ・ヘス=カッスルが所持していたもので、200年以上の歴史を誇るマスターピースともいえるロイヤルジュエリーです。

侯爵夫人であるオーガスタがラバーズノットティアラを身に着け微笑んでいる肖像画も残されており、現在の姿とは異なる、上部に真珠がセッティングされた、より豪華なオリジナルのティアラがそこには輝いています。

彼女の死後は娘であるメクレンブルグ=シュベリーン大公子フリードリヒ・ヴィルヘルム夫人オーガスタに、そしてそのあとは彼女の孫娘であるモンテネグロ王太子ダニーロの妃であるユッタへと受け継がれていくのです。

しかしユッタが生きた時代のモンテネグロは言わずもがな第一次世界大戦の戦火に翻弄された時期であり、命からがらフランスに亡命を果たすも、件のティアラは行方不明になってしまいます。

それでは現在伝わっているラバーズノットティアラはいったい?という疑問がわくわけですが、こちらはエリザベス女王の祖母メアリー王妃の命により王室ご用達ジュエラーがGarrardによって1914年に制作されたレプリカになります。レプリカといえば聞こえが悪いのですが、そのデザインと質は本家本元のティアラと比べても劣ることはないロイヤルジュエリーです。

というわけで長い歴史の中で戦火に消えたオリジナルティアラを元に新たに制作されたのが、現キャサリン妃所持のラバーズノットティアラだったというわけですね!因みにオリジナルのティアラの所在は不明ですが、実はプライベートコレクターが密かに所持していると伝えられています。(これはこれで興味深いストーリーですよね!)

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ラバーズノットとロイヤルジュエリーの深いお話

ダイアナ妃そしてキャサリン妃愛用のラバーズノットティアラをご紹介していますが、まず第一にラバーズノットって何よ?という点に疑問を持つ方も少なくないことでしょう。

ここでは宝飾史においても大変ポピュラーで人気の高いデザインのラバーズノットと、王室との切っては切れない関係について考察してみたいと思います。

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そもそもラバーズノットってなに?

ラバーズノットを和訳すると、恋人結びとか愛結びと翻訳するのが適当でしょう。このロマンティックな飾り結びは、優雅な曲線が持つ麗しさ、そして左右対称のバランスのよさがゆえ、古来から宝飾デザインに多用されていきました。

愛のデザインとして知られるラバーズノットですが、よくよく見てみると数字の八に似ており、メビウスの輪を連想させ、途切れない永遠の愛情や絆を表現していると考えられます。

このラバーズノットデザインは主に17世紀以降、イヤリング、ネックレス、ブレスレットなどに多用され、豪奢なカラーストーンをセッティングし、エナメルでカラフルに彩色し貴族や王族にこよなく愛されました。

特にラバーズノットデザインで統一されたネックレス、ブローチ、イヤリング、リングなどによる同一デザインのパリュールは、宮廷ファッションに欠かせないアイテムとして重宝されていくのです。

様々なラバーズノットジュエリーが現代にも伝わっていますが、白と黒、そしてトルコ石のようなターコイズブルーで鮮やかに彩色されたものは、ラバーズノットのデザイン性の高さ、美しさを引き立たせる抜群の化学反応を見せています。

蝶結びが王室ジュエリーとして愛されたその理由

ラバーズノットはそのロマン溢れるデザイン性の高さだけではなく、様々な宝石との相性も良いため、洗練された宮廷生活、貴族生活には欠かせないジュエリーとして機能していきました。

ラバーズノット自体は中世にさかのぼる歴史を誇りますが、宮廷で多く用いられた時期は17世半ば~18世紀終わりころまで。特にイギリス、ロシア、ドイツやポルトガルなどの宮廷における催事(特に宮廷メンバーの誕生日)では、豪華絢爛という形容がピッタリのジュエリーが勢ぞろいしたそう……。

ラバーズノットのような伝統的に様々なタイプのジュエリーに対応可能なデザイン、そしてそれが持つセンチメンタルな意味合いは、社会的地位を問わず人気を集めていきました。

特にドレスの上部から下部に大きいものから順に身に着けていったボディ用装身具にも多用され、豪華さを競うロイヤルファミリーや貴族にとってなくてはならないデザインジュエリーとしてその名をとどろかせていったのです。

また18世紀半ばころにはラバーズノットデザインのダイヤモンドジュエリーが大変な人気を博し、おのずと自身の絶対的権力、地位を誇示するための一つのツールとして重宝されていきました。

現代で見られる蝶結びのジュエリーは単にキュートでかわいい!そんな印象を与えますが、実はとてもロマン溢れるセンチメンタルな意味合いを持ち、各地の宮廷ではダイヤモンドと同様に権力の象徴として愛されていったのです。

まとめ

比較的新しいモチーフなのかな?と思っていたら、ラバーズノットと呼ばれるリボンデザインは宝飾史においても、長い歴史を持っていたのですね!

愛する人との絆を表すラバーズノット、その意味を知ると、ケンブリッジラバーズノットティアラがより美しく輝いて見えるようです。

ケンブリッジ侯爵夫人がラバーズノットティアラを付ける機会こそ限られていますが、もしそのティアラを見る機会があれば、それが辿った数奇な運命を重ね合わせ、目の保養をしてみてくださいね。